蕎麦屋は今も昔も羽後町の社交場
秋田県羽後町の西馬音内地区を訪れたら、ぜひ西馬音内そばを食べてみることをおすすめする。地元の人によれば、「そばは作るものではなく、食べるもの」らしい。そば粉の生産が盛んな場所で、美味しいぞばが生まれるのが定石だが、最近まで、西馬音内でそば粉を作ることはなかったそうだ。それでも交通の要衝だった時代から、旅する人のお腹を満たすために提供し続けた蕎麦は噛みごたえ抜群の麺に、煮干しや鰹などでとった出汁がからまり、西馬音内そばとして独自のそば味を作りあげてきた。つめたい汁をかけるひやかけで食べるのが流儀。昔も今も、町の中に点在する蕎麦屋は、なくてはならない町の社交の場である。